りんごジュースのマーケティングは難しい(2008年5月の記事)
- Keiro Hattori
- 4月8日
- 読了時間: 3分
ゼミ生が無添加のりんごジュースを研究室に置いておいた。ちょっと、ゼミ生にチェックをさせたら開栓されていたジュースにカビが発生していた。おいおい、と思って捨てさせたのだが、まあ、無添加のりんごジュースだから保存料漬けのりんごジュースのようにはいかない。最低、冷蔵庫に入れておかなくては駄目だろう。ゼミ生のもってきた無添加りんごジュースは、相当美味しい。私もこのジュースをつくっている農家に遊びに行かせてもらい、いろいろと試飲させていただいた。非常に美味である。そして、この農家の方はいろいろと販売するチャンネルをつくろうと努力されている。こんな美味しいりんごジュースなら、皆大喜びだろうと思っていたのだが、販売を委託されている人の考えだろうか。とても高い値段で売られていることを知った。500ミリリットルで800円、場所によっては1000円で売っている。青森のみかみ果樹園の100%無添加りんごジュースが1000ミリリットルで680円だから、単位当たりは3倍近くの値段だ。みかみ果樹園より美味しいのかもしれないが、正直、ちょっと違いは分かりにくい気がする。この農家の人は本当に農業の考えもしっかりしていて、私も大ファンになっているのだが、ただこの無添加りんごジュースのマーケティングには違和感を覚えている。というのは、500ミリリットルで800円のりんごジュースを買おうと思う人は、相当の健康志向であることがうかがえるからだ。りんごジュースの味に拘るだけでは、そんな高いものは買わない。トロピカーナの100%りんごジュースで十分だ。値上げをしても、それでもサミットであれば1000ミリリットルを200円程度で買えてしまう。となると、やはりちょっと放置しただけでカビが発生するくらいの無添加であることが、付加価値になると思うのである。
ところがだ。もしそんなに健康に拘るのであれば、そういう人はジューサーを購入してしまうと思うのである。ヨドバシに行けば、5000円もしないでまともなジューサーを購入できる。それでりんごをジューサーにかけてジュースをつくればいいのである。500ミリリットルで800円払うのであれば、余裕でジュースのために有機のうまいりんごが購入できてしまう。そして、ジューサーにかけた出来たて直後のりんごジュースは、もうこれは本当に滅茶苦茶美味しい。どんなに美味しい無添加ジュースも、これには適わない。そういえば、トロピカーナのジュースの広告コピーは「自家製100%ジュースのおいしさ」を目指しているそうだ。そうか、自家製がやはり最高に美味いのか。りんごジュースをつくっている農家の人には本当に申し訳ない気分ではあるのだが、高級無添加ジュースのマーケティングは結構、厳しいことを知った。ある程度の価格、例えば、濃縮還元のトロピカーナの100%ジュースの3倍くらいの値段でならマーケットはあるかもしれない。しかし、それ以上高く、健康志向の人達にアピールしようとするのは、しんどいものがある。みかみ果樹園の価格こそが上限に近いのではないか、と思った次第である。とはいえ、私はジューサーのりんごのために、秋には是非ともこの農家に遊びに行かせていただき、大量のりんごを購入したいと考えているのである。
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